「かに星雲」の中心に存在する強力なパルサー
かに星雲は地球からおよそ7000光年の距離に位置する天体で、1054年に起きたとされる超新星爆発の残骸からつくられた。この現象は、日本でも藤原定家が日記『明月記』に記録しているほどだ。
かに星雲を詳しく調査すると、中心部に「かにパルサー」と呼ばれる天体が高エネルギー光子を作り出していることが判明した。
かにパルサーは1秒間に30回転する中性子星で、電波からガンマ線にいたる多くの波長の電磁波を放っている。この放射が、高エネルギーの光子を作り出す鍵となるのだ。
研究チームによると、パルサーが発する高エネルギーの電子が低エネルギーの光子と衝突し散乱することで、光子をより高エネルギーのX線やガンマ線に変化させるという。
この現象を「逆コンプトン効果」と呼んでいる。こうして生じた高エネルギーの放射線が、地球へと達していたいうわけなのだ。
ピンポン球程度の衝撃とはいえ、チベット高原に訪ねた際は「かにパルサー」に注意かに〜。