サイズが大きい上に奇妙な「突出」も
この微生物の正体は正確に分かっていないものの、化石がストロマトライト内部で見つかったことから、チャザ氏らは古代のシアノバクテリアではないかと推測している。
しかしそのサイズは、現在のシアノバクテリアとは一致しない。
現存するシアノバクテリアの大きさは平均して約5〜10ミクロンで、最大でも60ミクロンほどだ。これに対して、今回見つかった微生物のほとんどがその平均サイズを超えており、中には100ミクロンほどに達するものもあるという。
また奇妙に突出した形状は一見すると、有機体の一部が分裂して別の組織をつくる無性生殖の「出芽」のようでもある。
しかしこの出芽もまた、現在のシアノバクテリアには見られない。
この謎の微生物の正体を巡り、研究者たちは現在活発に議論を交わしている。
「化石のように見えるのは、中に閉じ込められた液体がゆっくり蒸発した際に残った空洞に過ぎない」という意見もあれば、「ストロマトライトの形成過程でそうした現象は見られない」と主張する意見も存在する。
チャザ氏は今後南アフリカを再訪し、今回の発見場所の周辺で同様の微化石を見つけることができないか試みたいと考えている。さらなる証拠が手に入れば、太古に存在した微生物コミュニティーに関する重要なヒントが得られるだろう。
地球環境の進化の過程を理解するための確かな糸口になりそうだ。
果たしてこの謎の細菌は、酸素の母「シアノバクテリア」の始祖なのだろうか。生命の始まりに迫ってきた。