衝突について安心できない理由とは?
実は地球の公転軌道内で発見された小惑星はこれまでに20ほど見つかっており、それらは一括して「Atira」と呼ばれている。
その中でも今回のLF6は直径が1kmに及ぶ比較的大きな小惑星であり、地球に衝突すると甚大な被害をもたらす恐れがあるのだ。
だがLF6の将来の軌道をコンピューターでシミュレーションした結果、地球に対する衝突の危険性はほとんど0と分かった。
しかし安心してはならない。NASAによる地球付近の小惑星探査ミッションは1998年から始まっているにも関わらず、地球に近いLF6の発見が今日まで遅れていたのには理由があるのだ。
先の記したように、LF6の軌道面は太陽系惑星の軌道面と垂直にある。そのことで小惑星が太陽の光に隠れてしまい、地球から観測を行うことが困難になっていたのである。
これは例えば、世界大戦中にパイロットが太陽の光に隠れて上方から敵機に近づいたのと同じような動きと言える。LF6も夕暮れ時の観測でようやく発見に至っているのだ。
もしLF6以外にも太陽に隠れている小惑星があるとしたら、しかもそれが地球に衝突する潜在的な危険性のあるものだとしたら、衝突直前になるまでその存在に気づけない可能性もあるのだ。
そうなる前に太陽光を避ける効率的な小惑星の探査法が見つかることを願いたい。