Point
■200万年前に生きていたアウストラロピテクス・アフリカヌスは6歳になるまで母乳で育てられていたことが判明
■母乳に含まれるバリウムによって、授乳中の子供の歯は必然的にバリウム濃度が高く、その後固形食に移行することで低くなる
■しかしA・アフリカヌスの歯は固形食移行後も定期的にバリウム濃度の上昇が見られた
オーストラリア・サザンクロス大学の新たな研究により、アウストラロピテクス・アフリカヌスは6歳まで母乳で育てられていたことがわかった。
6歳と言うと小学生になるのでかなり良い歳なわけだが、これには生存をかけた理由があった。
残された4本の歯の化石を詳細に分析したところ、歯の中の化学成分が周期的に変化していることが分かり、彼らが食べ物を逐一変えていたことを示している。
つまり食物の入手量によっては母乳を補助食として子供に与える必要があった。これはA・アフリカヌスの適応能力の高さを証明すると同時に、母乳を作る母親の多大なカロリー消費量を示している。
研究主任のルノー・ボワイヨ氏は「もしかしたらこの手法がA・アフリカヌスの絶滅を早めた可能性もある」と指摘する。
研究の詳細は、7月15日付けで「Nature」に掲載されている。
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1370-5
アウストラロピテクス・アフリカヌスとは
アウストラロピテクス・アフリカヌスの化石は1924年に南アフリカのタウン(Taung)で発見された。彼らはアフリカで誕生した代表的な初期人類であり、生存年代はおよそ200万〜300万年前の鮮新世であると推定される。
しかしながら発見されている化石の絶対数が少ないため、当時のA・アフリカヌスがどのようにして生活していたのか、また他の人類の祖先とどのような関係を持っていたのかはほとんどわかっていない。
ちなみに発見場所のタウンはその後も様々な人類の化石が発掘され、現在ではユネスコ世界遺産にも登録。「人類のゆりかご」として知られている場所だ。