重力マイクロレンズ現象ってなに?
重力レンズというのは、地球から観測する際、観測対象と地球の間に重い天体が挟まることで観測される光が歪む現象を指します。
これは天体との位置関係によっては、まるで凸レンズを通した様な集光作用をもたらします。すると重力源の後ろにある天体は、通常より明るくなる「増光現象」を起こすのです。こうした現象を「重力マイクロレンズ現象」と呼びます。
上で解説した白色矮星は多くの場合、別の星と連星系を作っています。連星とは、2つの恒星が互いの軌道上に乗って周り合っている様な状態です。
今回の研究で観測対象とされているのは、太陽と同タイプのG型星の周りを、白色矮星が軌道運動している自己重力レンズ連星 「KOI-3278」という天体です。
この天体では、地球から見てG型星の前を白色矮星が横切ったときに、「重力マイクロレンズ現象」が発生します。白色矮星は約88日で公転しているので、この連星は88日周期で明るさが増減する変光星です。
重力レンズ現象は、アインシュタインの一般相対性理論により説明される現象なので、この理論を利用すると、通常時との光のズレから白色矮星の質量を計算することができます。
ただ、こうした白色矮星の質量を決定するには、星の進化モデルを考慮しなければなりません。恒星はその段階によって、ある程度質量に制限があるため、ここからずれた結果の場合、モデルに問題があるか、計算に問題があるかのいずれかということになるのです。