ニュートン力学による質量計算
ニュートンの理論は、惑星の軌道運動を観測結果から経験的に定式化したものです。重力とは何なのか? どうして生まれるのか? ということは一切考慮せず、現象と辻褄を合わせて生み出されました。
理由にこだわらず現象のみを捉えたのは、ニュートンの優れた点といえるかもしれません。
今回の研究では、ニュートンの法則で記述される軌道運動を通して、白色矮星の重力がG型星の光に及ぼす影響を計算しています。
遠い星の観測では、光を成分ごとに分けて調べる分光観測というものを使っています。プリズムを通すと光の成分が分かれる原理を、もっと細かくしたような観測方法です。
そしてその光の成分が重力の影響で起こすズレと、軌道運動の関係から星の質量を導き出しているというわけです。
この結果は、アインシュタインの理論により計算された質量と、5.2%の誤差内に収まっていました。これは測定の不確実性により許容可能な範囲です。
恒星進化モデルによらない、独立した異なる2つの理論による質量測定がほぼ一致したという結果は、今後進化モデルに頼ることなく直接計りに乗せるように白色矮星の重さを測定し、検証できることを示しています。
研究者たちは、同じ様な連星を多く見つけ出し、この結果が確実なものであるかどうか検証していきたいと話しています。
この測定方法が確率されれば、今度は白色矮星の進化モデルが正確さを検証することも可能となります。
これは古典的で基礎的な科学が、自然や宇宙を理解する上でいかに役に立つかを示している素晴らしい例だと研究者たちは語っています。
なら、なんでもっと早くやらなかった? と思わなくもないですが、実際に正確な計測へ適用させるには、ここでは語れない多くの苦労があったのでしょう。