Point
■ハッブル宇宙望遠鏡によって撮影された、非常に高精細な木星の画像が公開した
■この画像では以前より雲の色彩が強くなっており、複雑な雲の流れを詳細に見ることができる
■トレードマークとも言える大赤斑は、過去の撮影画像と比較すると徐々に縮小を続けているが、原因は不明だという
木星は、太陽系最大の惑星であり、その大きさは太陽系の他の惑星すべてを合わせたよりも巨大です。
今回公開された画像は、2019年6月27日にハッブル宇宙望遠鏡によって撮影されたもので、最新の木星の姿を明らかにしています。
最新の木星は、これまでの画像に比べ、いくつかの変化が見て取れます。
まず乱流に渦巻く雲の色彩が、以前より強くなっており、流れる雲の複雑な様子がよりはっきりと見て取ることができます。
また、木星の象徴とも言える大赤斑は、1800年代以降の観測で、徐々に縮小していることがわかっています。ただ、縮小していると言っても、その大きさは依然地球と同等の規模を誇っています。
これらの変化が何故起きているのかは、現在のところ天文学者たちにもわかっていません。地球ではずっと観測している馴染みの惑星ですが、木星は未だに神秘に包まれているのです。
この木星画像は、ハッブル宇宙望遠鏡の公式サイトで公開されています。
https://hubblesite.org/contents/news-releases/2019/news-2019-36#section-id-2
暴風の吹き荒れる惑星
木星のトレードマークの大きな赤い目、「大赤斑」は高気圧の嵐です。これは互いに反対方向へ移動しようとする雲に挟まれて反時計回りに回転しています。
地球の嵐は主に太陽光の熱が大気を動かすことで発生しますが、木星は太陽から遠いためほとんどその影響は受けていません。この色とりどりの雲を激しく動かす乱流は、全て木星内部から吹き出す熱によって作られているのです。
木目のような縞模様を惑星の帯は、アンモニアの氷雲です。これは高度が高く厚い雲ほど、明るい帯になります。ゆったり動いているように見えても、この帯はすべて時速644キロメートルもの速度で流れています。
また、今回の撮影画像で興味深いのは、赤道を流れる明るいオレンジ色の幅広い帯です。これは深い雲が晴れ始めていることを示している可能性があります。
毎年の様に撮影を続けている惑星ですが、木星の謎がすべて明らかになるまでには、まだまだ観測を続けていく必要がありそうです。