Point
■アメリカ、テキサスの写真家Ethan Chappel氏が木星に隕石の衝突する瞬間の撮影に成功した
■Twitterに投稿された写真家の映像は、2019年8月7日、協定世界時4:07に撮影されたもの
■木星への隕石落下は珍しい出来事ではないが、その瞬間が撮影されることは稀
木星は地球の317倍近い質量を持つ、太陽系で一番巨大な惑星です。
地球にめったに巨大な隕石が落ちない理由は、この木星の巨大質量が大きな隕石を吸い寄せてくれるためだと言われています。
地球の守護神! 圧倒的セーブ力! 木星はそんなエースゴールキーパー的存在なのです。
そんな木星へは、割と頻繁に隕石が落下しています。
最近の研究では、木星の隕石落下の頻度は地球と比べ、2000倍から8000倍ほどと言われています。これは質量が大きいことに加え、火星との間に小惑星帯を持つことも理由の1つのようです。
そのため、木星に隕石が衝突したという話題自体はさほど大きなニュースではありません。しかし、その瞬間が撮影されることは、かなり稀な出来事になります。
今回、そんな木星の彗星衝突を捉えたという映像が、テキサス州の天文写真家によってTwitter上に公開されました。
Imaged Jupiter tonight. Looks awfully like an impact flash in the SEB. Happened on 2019-08-07 at 4:07 UTC. pic.twitter.com/KSis9RZrgP
— Chappel Astro (@ChappelAstro) August 7, 2019
撮影されたのは2019年8月7日、協定世界時4:07のことです。協定世界時は日本時間とは9時間ほどズレているので、これは日本時間では同日の13:07頃の出来事になります。
映像をみると、木星の左下辺りに、隕石が衝突した瞬間に放った閃光が映し出されています。
木星のほとんどはガスですが、重力の強いこの惑星では、隕石の落下速度が地球の5倍近くになり、この速度でガス雲に突入した隕石は、まるで硬い壁に衝突したように爆発して強い閃光を放つのです。
この原理は、高い飛び込み台からプールに飛び込むと、液体相手でも衝突時の衝撃が大きくなるのと同じことです。
Single frame and DeTeCt output image of the potential impact on #Jupiter. pic.twitter.com/kjZZgOYlQf
— Chappel Astro (@ChappelAstro) August 7, 2019
今回の隕石の規模や、それが木星へ残した影響については、現在はまだ明らかとなっていませんが、地球から衝突の閃光が確認できるほどだったとなると、数100メートル以上のサイズの隕石であった可能性が高いと考えられています。
木星では頻繁に隕石落下が発生していると言われていますが、その殆どは、地球から見て木星の裏側で起こっています。
1994年に大きな話題となったシューメーカー・レビー第9彗星は、木星衝突の時期が予測されていたため、多くの天文台から観測されていましたが、衝突自体は裏側で起こったため、その瞬間を直接捉えることはできませんでした。
今回の映像は、木星衝突の閃光を自動検出するフリーソフト「DeTeCt」を用いて検出することができたと言います。
「DeTeCt」は木星の彗星衝突の瞬間に発する微かな閃光を撮影映像の中から自動検出するために開発されたソフトです。このソフトウェアは、アマチュア天体撮影家の観測映像からも貴重な資料を発見できると期待して、現在フリーで配布されています。
もし趣味で木星を撮影している人がいたら、このソフトウェアを使うことで、決定的な彗星落下の瞬間を見つけ出せるかもしれません。