Point
■ショウジョウバエにリチウム、トラメチニブ、ラパマイシンを組み合わせて投与すると、寿命が約1.5倍に延びることが判明
■低用量の薬品有効成分を複数組み合わせた医薬品「ポリピル」が、ヒトの寿命延長にも寄与する可能性
気分安定薬、抗がん剤、免疫抑制剤―。本来はそれぞれ異なる目的で用いられる3つの薬剤ですが、それらを組み合わせることで寿命が変わってしまうようです。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンとマックス・プランク研究所が行った調査で、ショウジョウバエに3つの薬剤を組み合わせて投与することで、その寿命を1.5倍近く延ばせることが明らかになりました。ヒトの寿命の延長にも応用できる可能性があるとのことで、注目を集めています。
調査の目的は、永遠の命への鍵を見つけることではなく、人々が健康で長生きすることを助けるために、加齢のメカニズムを理解することでした。論文は、雑誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載されています。
https://www.pnas.org/content/early/2019/09/26/1913212116
気分安定薬+抗がん剤+免疫抑制剤の相乗効果
3つの薬剤とは、気分安定薬「リチウム」、抗がん剤「トラメチニブ」、免疫抑制剤「ラパマイシン」のこと。各薬剤はいずれも医療現場ですでに用いられているため、人体への使用が安全なことが分かっています。
そして今回、チームがこの3つの薬剤を組み合わせてショウジョウバエに投与した結果、寿命を通常の48%も延ばせることが明らかになったのです。