Point
■人工衛星に燃料を補給する世界初の静止衛星寿命延長機MEV-1が打ち上げられた
■MEVはこうした人工衛星に燃料を補給することで、衛星をさらに一定期間継続して使えるようにするもの
■衛星Intelsat901への5年間の燃料補給サービスを完了後は、分離して別の衛星にドッキングし、再びサービスを開始する
まさに宇宙のロードサービス。
10日9日、NASAの支援を受けたノースロップ・グラマン社が、人工衛星に燃料を補給する世界初の静止衛星寿命延長機MEV-1を打ち上げました。
ILSブリーズMプロトンロケットに搭載されて旅立ったMEV-1は、超同期遷移軌道(SSTO)に向けて現在順調に飛行中です。
Intelsat901への燃料補給サービスを終えると別の衛星の元へ
人工衛星は、機器そのものの老朽化や故障だけでなく、高度や傾きを調整するために噴射される燃料の枯渇によっても寿命を迎えます。MEVはこうした人工衛星に燃料を補給することで、衛星をさらに一定期間継続して使えるようにするものです。その名の通り、まさに人工衛星の「寿命を延長する」わけです。
MEV-1は、およそ3ヶ月後には静止遷移軌道(GEO)上の衛星Intelsat901にドッキングし、傾いてしまった軌道傾斜角を修正しながら、衛星の軌道を正しい位置に移動させる予定です。その後は、5年間にわたって燃料補給サービスを開始します。
設計寿命が13年であるところをすでに18年経過したIntelsat901は、まさにご老体。MEV-1の到着を今か今かと待っていることでしょう。
MEV-1は15年の設計寿命の間に数回ドッキングを繰り返す能力を備えているため、Intelsat901への5年間の燃料補給サービスを終えた後はIntelsat901を墓場軌道に移動させて分離し、別の衛星に再びドッキングしてサービスを提供する計画です。
Intelsat901を所有するインテルサット社のCEO ステファン・スペングラー氏は、「我々は、需要があればこのサービスを我社の航空隊の他の衛星へ移行させることもできます。我社の航空隊管理計画を前進させるため、柔軟性は不可欠なものです」とコメントしています。