タイムトラベルは「創る時代」へ
このタイムトラベル方法に革命を起こしたのが、1895年にH.G.ウェルズが発表した小説『タイム・マシン』です。これまでと違い、自身が開発した乗り物によってタイムトラベルを行うという非常に画期的な作品でした。
この頃は産業革命に伴い、蒸気機関車や自動車が世の中に普及していった時代です。そこでウェルズは、「乗り物を使って時間旅行ができるのでは」というアイデアを思いついたそうです。
ここから、人類は得体の知れない力に巻き込まれるタイムトラベルから、科学の力による能動的なタイムトラベルへと移行していきました。
その後、ウェルズの影響を受けたクリエイターたちにより、次々と独自のタイムマシンが生み出されました。形式も小説を超えて、テレビや映画、ゲームと媒体を広げていきます。
例えば、『ドクター・フー』の「ターディス」や『バック・トゥー・ザ・フューチャー』の「デロリアン」などがそれです。
ヤシェク氏は、タイムトラベルについて「エンターテインメントとして面白いだけでなく、人生に新たな視点をもたらすという点で魅力的」だと話します。
例えば、100年前に遡って現代人の失った何かを学ぶこと、あるいは100年後の世界を垣間見ることで人類がこれから犯す誤ちを知ること。こうした視点は、現代人にとって救いにも警告にもなりえます。
タイムトラベルは、人類が今ここを正しく生きるために編み出した方法だと言えるのかもしれません。