- 地球から1500光年の場所にて、白色矮星の周囲を公転する太陽系外惑星が発見される
- 伴星を持つ白色矮星の発見は今回が初めてで、この連星システムは「太陽系の未来」と言われる
太陽に残された寿命は、あと50億年ほどです。途方もなく先のことですが、それでも終わりはやって来ます。
寿命が尽きたあと、太陽や地球はどのような運命をたどるのでしょうか。
そんな太陽系の未来を体現するような天体が、このほど、イギリス・ウォーリック大学により発見されました。
天体は、かに座の方角に約1500光年離れた場所にある「白色矮星の周りを公転する巨大惑星」。
伴星を従える白色矮星が観測されたのは今回が初めてとのことですが、これが一体なぜ「太陽系の未来」と言われるのでしょうか。
研究の詳細は、12月4日付けで「Nature」に掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41586-019-1789-8
惑星の大気を吸い取っていた
観測には、チリ・アタカマ砂漠に建設された「超大型望遠鏡VLT」が使用されました。およそ7000個の白色矮星を観測する中で、他とは様子が違う奇妙な星が見つかっています。
その白色矮星は、ガスやチリが溜まって作られる降着円盤を持っており、その中に水素、酸素、硫黄が、従来の白色矮星には見られないほどの量で発見されたのです。
研究主任のボリス・ゲンシック氏は「これらの元素は白色矮星のものではなく、他の何らかの天体から来ている」と予測しました。その予測通り、白色矮星を10日周期で公転する海王星のような惑星が発見されています。
この惑星は、降着円盤に隠れていたため、発見に数週間が費やされたそうです。
詳しい分析の結果、白色矮星の表面温度は、摂氏2万8000度(太陽表面のおよそ5倍)で、超高温の熱放射を発していることが分かりました。
その熱放射により、近くを公転する惑星の表面大気が蒸発しています。大気のほとんどは宇宙空間に散っていたものの、その内のいくらかは白色矮星の重力により、1秒間に3000トンの割合で吸引されていました。
これが降着円盤の正体です。