- 天体観測の記録の不一致を調査していた研究チームが、短期間に消失している星を100以上発見した
- 天体の消失で通常見つかる超新星爆発などの痕跡がなく、消失した理由が現在不明
- 未知の天文現象か、地球外知的生命体の痕跡である可能性がある
空で突然消える光源を見つけたら、多くの人が「UFOだ!」と思うかもしれません。
今回、古い観測記録と新しい観測記録の比較調査を行っていた天文学チームが、はるか遠い宇宙で、いつの間にか消えていた謎の光源を100個以上発見したと報告しています。
研究チームは、新旧の観測記録を調査する中で、15万近い天体について観測記録の不一致を発見しました。その多くは観測のミスによる可能性が高かったと言いますが、現在100個近くの非常に赤い星が未知の理由で消えているというのです。
研究チームは現在のところ、これらの天体が突然消失した理由を説明できる現象の痕跡は発見できておらず、地球外知的生命体の活動の可能性も考慮に入れているといいます。
一体遠い宇宙で何が起きているのでしょう?
この論文はストックホルム大学のBeatriz Villarroel氏がリーダーを務めるVASCOプロジェクトの研究チームより発表され、12月12日に米国天文学会の学術雑誌『The Astronomical Journal』に掲載されています。
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-3881/ab570f
掃天観測を調査するVASCOプロジェクト
天体観測には1つの天体に注目して行う指向観測と、広い範囲の夜空を観測して星の地図を作る掃天観測という2つの観測方法があります。
掃天観測(スカイ・サーベイ)は広域の星の地図を作ることが目的の巨大なプロジェクトです。何が映っているかは、観測された時点ではよくわかっていません。作られた膨大な星の記録は天文学者たちに公開され、好きに使ってねという感じになります。
グーグルアースから古代遺跡を発見する高校生がいるように、この星の地図も目的を持って調査することで様々な発見をすることができます。
今回、星の消失を報告したVASCOプロジェクトは、こうした歴史的掃天観測の記録の中から、時間の経過とともに消滅した天体の調査を行っていました。
古い記録は1950年代の米国海軍天文台のカタログを調査し、新しい記録ではハワイ大学、マサチューセッツ大学などが主導で行っている掃天観測プロジェクト「Pan-STARRS」が利用され、比較調査が行われました。
チームはその調査の中で、過去のデータとの不一致を見せる15万近い天体を見つけましたが、その中でも特に100個の非常に赤い天体が、説明のつかない理由で消失していたというのです。