
- 2700年前のアッシリアの石版に、てんかん病のシンボルである「デーモン像」が発見される
- 「デーモンが月の神の代理である」という記述があり、古代人はてんかんと月を関連づけていたと考えられる
古来より、病気と悪魔は度々結び付けられてきました。メソポタミア神話に登場する「ネルガルの14の悪魔」も、その多くが様々な病気と関連付けられています。
今回、ドイツ・ベルリン中東博物館が所蔵する約2700年前の石版に「デーモン像」が発見されました。
発見者のTroels Pank Arbøll氏(デンマーク・コペンハーゲン大学)は「石版に記載された、古代の医術文を研究中に遭遇した」と話します。
周囲に記載された文によると、このデーモンは「てんかん」の発症原因となる悪魔を象徴していることがわかったのです。
Arbøll氏は「古代のテキストの中で、特定の病気と結びつく悪魔像が発見されたのは今回が初めて」と述べています。
デーモンは「月の神」の代理?
石版は古代アッシリア王国のもので、テキストには紀元前3500年頃に発明された「楔形文字」が用いられています。アッシリア王国は、現在のイラク北部に栄えた国で、紀元前2000〜600年頃まで存在していました。
今回の石版は、約2700年前のものなので、アッシリア後期に作成されたものと思われます。

問題のデーモン像は、石版の裏側の部分的に損傷した一角で見つかりました。横向きに掘られていますが、2本のツノにヘビの舌、1つの尾を持った悪魔の姿が確認できます。
上部に記載されたテキストによると、このデーモンは「てんかん」を引き起こす存在であり、アッシリア人は「ベンヌ(Bennu)」と呼んでいたことが分かりました。ベンヌとは、メソポタミアの神話に登場する冥界の神ネルガルに従う悪魔のことを指すと考えられます。

「ベンヌてんかん(Bennu-epilepsy)」は、激しい発作や失神、精神異常を伴う恐ろしい病気で、患者がヤギのように泣き叫ぶこともあるとのこと。
さらに、ベンヌはメソポタミア神話に登場する「月の神シン」の代理だという記述も見られました。月の満ち欠けと体長が結び付ける文化は、時や場所を超えて見受けられます。古代人はおそらく、てんかんに見られる精神異常を月の出現と関連させていたのでしょう。

古代人にとって病気は、神様や悪魔、魔女によってもたらされる現象でした。
特にてんかんは「神聖な病」と見なされることも多く、古代のてんかん患者は「神聖な存在に天啓を受けた」あるいは「悪魔のような不浄な存在に支配された」存在だったのです。
当時のアッシリア人にとって、その原因となるのが月でした。こうした解釈は、現代の西洋世界に根強く残っており、英語の「精神異常(Lunacy)」は「月(Lunar)」に由来しています。
アッシリア人には、まん丸お月さまのウサギが、2本ツノにヘビ舌の悪魔に見えていたのかもしれません。

























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てんかん患者ですが非常に興味深い内容ですね!月と人間の関係は洋の東西を問わないのは知っていましたが特定の病気など肉体と結びつくのは日本においては出産などでありさらに研究が進むといいですね。