- 宇宙は加速膨張しており、その原因は検出できない暗黒エネルギーと言われている
- これは宇宙のどの位置でも光度が一定になるという天体Ⅰa型超新星の観測から明らかとなった
- 今回の研究はⅠa型超新星が常に一定という理論を否定しており、そのため暗黒エネルギーも否定されるという
暗黒エネルギーとは、宇宙の加速膨張の原因なっていると考えられている未知のエネルギーのことです。
宇宙の加速膨張を提唱した研究者たちは、ノーベル物理学賞を受賞。今では多くの天文学者たちが、まったく検出できない謎の暗黒エネルギーを特定しようと研究を行っています。
しかし、暗黒エネルギーはあまりに謎が多いので、それを探すより否定する材料を探している科学者も多く存在します。
今回発表された研究では、宇宙の加速膨張を支持する観測自体に問題があると指摘しています。
暗黒エネルギーに関する議論を行う以前に、そもそも宇宙が加速膨張しているという問題を再検討する必要があるというのです。
果たして暗黒エネルギーは本当に存在するのでしょうか?
この研究は、韓国延世(ヨンセ)大学校とフランスのリヨン大学及び、韓国天文研究院(KASI)の研究者による共同研究として発表され、天文学の論文誌『Astrophysical Journal』の2020年1月号にも掲載が決まっています。現在はプレプリントサーバー『arXiv』で論文を読めます。
https://arxiv.org/abs/1912.04903
そもそも「暗黒エネルギー」とは何なのか?
フォースの暗黒面のような印象を受けてしまう「暗黒エネルギー(ダークエネルギー)」ですが、ここで使う暗黒という言葉は、「まったく未知の検出できないもの」という意味で使われているものです。
黒いわけでも邪悪なわけでもありません。また、暗黒物質と呼び方が似ているためよく混同されますが、暗黒物質とも関係はありません。
暗黒エネルギーとは、重力に逆らって宇宙空間を膨張させていく未知のエネルギーのことを指しています。
宇宙は万有引力の影響で、基本的には収縮する力が働いています。一般相対性理論を発表したとき、アインシュタインも自身の重力場方程式の中にそうした作用があることに気づきました。
しかし、アインシュタインは宇宙が縮むとは想像できなかったため、何らかの作用によって宇宙は不変の状態に保たれているはずだと考えました。
そこで、重力場方程式の中に、宇宙の収縮を押し止める斥力として宇宙項を導入したのです。
この宇宙項がいわゆる暗黒エネルギーを表すものでした。しかしその後、1929年に天文学者のエドウィン・ハッブルが宇宙が膨張していることを観測により発見します。
縮むはずの宇宙が膨張している原因は、その後ビッグバンという現象により説明されることになります。ビッグバンの巨大な爆発力が今も続いていて、宇宙は重力に逆らって膨張を続けているわけです。
こうなると、不変の宇宙を維持するための宇宙項は不要の存在です。このためアインシュタインも間違いを認めて、式から宇宙項を撤回したのでした。