- イスラエルの遺跡から出土した2000年以上前のナツメヤシの種を発芽させることに成功
- ナツメヤシの種の長寿命の秘密を解明することで、将来的な農業や植物栽培の助けとなる
イスラエルのHadassah Medical Organisationは、5日、2000年以上前のナツメヤシの種を発芽させることに成功したと発表しました。
ナツメヤシの種は、イスラエルにある古代宮殿の遺跡や洞窟から、約数百個見つかったものです。
イエス・キリストがまだ生きていた時代の種が発芽したことに研究チームも驚いており、「この結果は、植物種子の優れた長期寿命を解明する一助となる」と話しています。
研究の詳細は、2月5日付けで「Science Advances」に掲載されました。
https://advances.sciencemag.org/content/6/6/eaax0384
2000年前の種が6個発芽
研究チームは採取された数百の種から、発芽しそうな状態の良いものを34個選定しました。種の選定には長い時間がかけられており、虫食いの穴が空いているものや表面が傷ついているものも多くあったそうです。
その結果、発芽した種は全部で6個あり、それぞれアダム、ヨナ、ウリエル、ボアズ、ユディト、ハンナなど、聖書から引用された名前がつけられています。
放射性炭素年代測定の結果、アダムとハンナは紀元前1〜4世紀、ボアズとユディトは紀元前2〜紀元後2世紀、ヨナとウリエルは紀元後1〜2世紀頃と推定されました。
これら古代の種は、現代のナツメヤシの種よりも平均して30%ほど大きく、それに合わせて、実の方も大きくなると考えられています。
また遺伝子解析により、それぞれの種の品種が場所的に異なることも判明しました。
アダムは現在のペルシャ湾に近い土地のナツメヤシから来ており、ヨナ、ウリエル、ボアズは、エジプト西部のものに近く、ユディト、ハンナは、現在のイラクに自生するものに近いとのことです。
ナツメヤシが人工的に栽培され始めたのは、およそ6000年前のアラビアやメソポタミア地域と言われており、その後、古代ユダヤ人が暮らすレバント地方に広まっていきました。
ナツメヤシは食用としてだけでなく、うつ病や記憶力の低下など、さまざまな病気の治療にも使われていた記録が残っています。
今回発芽したナツメヤシがそれぞれ異なる地方から来ているのは、おそらく貿易ルートに乗って運ばれてきたからでしょう。
研究主任のサラ・サロン教授は「ナツメヤシの種が、これほどの長期寿命をいかに可能にしたかを解明することで、この先の農業や植物栽培の助けにもなる」と話します。