画像
Credit: Pixaby
space

あのコペルニクスも見たことがなかった!?水星の面白ポイントをふまえて観測に挑戦しよう (2/2)

2024.11.25 17:00:57 Monday

前ページ水星ってどんな星?

<

1

2

>

地球とはいろいろ異なる水星の生活

金星は自転が遅く、1日が1年より長いため、まだ今日が終わってないの、1つ年を取ってしまった…となりますが、水星の生活もなかなかのもの。

水星の公転周期は約88日、自転周期は約59日で、太陽の周囲を2回公転する間に3回自転します。

水星で生活するとして、1日を「太陽日」で考えましょう。太陽が1番高い位置に達して、次に高い位置に達するまでを1日とすると、水星での1日は、約176日になります。

太陽のまわりを1回転する公転周期(1年)は88日なので、水星の1日=水星の2年という計算ですね。

しかも、88日間は昼間で太陽が照りっぱなし、次の88日間は夜で日が差さない日が続く(昼間88日+夜88日でまる1日=176日)のを繰り返します。

このことと、重力が小さいので大気がわずかしかないことが、水星の昼間の温度は最高で約430度、逆に夜はマイナス160度という、昼夜で大きな温度差を生み出しています。

なお、昼間は非常に暑くなるにもかかわらず、地軸の傾きが0度なので四季はありません。極に近いあるクレーターには1年中太陽光があたらないので、氷の存在が確認されています。

水星では日の出の途中で突然日が沈むことがある

水星の逆行が話題になっていますが、地球からの見かけの運動の問題とは別に、もし水星で生活した場合、特定のポイントで日の出の途中に太陽が逆行して一度沈み、その後再びのぼる現象が見られることがあります。

公転軌道が楕円形のため、太陽にもっとも近づく前後4日間は水星の軌道速度と自転速度が等しくなるために起こるとのこと。

画像
Credit: depositphotos

直径の4分の1以上に相当するクレーター

水星の表面はクレーターでいっぱいです。彗星や隕石の衝突を軽減する大気がほとんど無いですしね。

そんななかで水星の直径の4分の1を占める「平原」が目に付きます。カロリス盆地と呼ばれ、直径1,300kmもあります。およそ36億年前に、直径100キロメートル程度の天体の衝突によって作られたというのが一説。水星を観光するなら、1番の見どころですね。

画像
Credit: NASA カロリス盆地

ほかに水星特有の地形として、リンクルリッジと呼ばれる高さ約2km、距離は最長クラスで約500kmになる断崖がいくつもあります。水星ができたばかりのときは熱かった核が、冷えて収縮したときに星の表面とともに縮んでシワのようになったのではと考えられています。

小さい星なのに、固有の磁場がある謎

自転速度が遅いのに、水星は地球の1.1%にあたる比較的強い磁気圏を持っています

地球や木星に磁場があるのは、硬い金属の核のまわりに液体金属が存在する外核があって、それらが流動して電流が生じ、磁場が形成されるからです。

水星は小さいので、形成後急速に冷えて中心の核も早く固まったため、核に液体部分を持たないと考えられ、つまり磁場はないと思われていました。

それが1970年代、探査機マリナーによって磁場があることが発見され、2002年からの電波望遠鏡による複数の観測や、探査機メッセンジャーの探査を経て、内部に液体部分があって固有の磁場があることがわかりました。また、地球ではほぼ中心にある「棒磁石」が中心から北にずれている新たな謎が見つかりました。

画像
Credit: 九州大学(プレスリリース)

この謎の解明は、九州大学が行っています。中心核内部の磁場が自己調整機構によって対流をコントロールすることで、自発的に生成・維持されていると考えられるそう。地球と比較することで、両方の星の起源や進化について研究が促進しそうで興味深いですね。

水星の隕石が買える?

水星について知ると興味がわいてくるもの。「アポロの月の石」みたいに、水星の石が入手できたらロマンじゃないですか?

地球に飛来する隕石を通して、月の石や火星の石は一般の人でも買うことができ、筆者も所持しています。

NWA7325という、水星から飛来した可能性があるという隕石が市販されていたこともありました。

実際のところ、母天体ははっきりわからないけれど、水星よりも小惑星由来の可能性が高そうというもので、聖徳学園大学のレポートでは、太陽系の初期にできた母天体からきたもので、水星由来ではないと明言されていますが、水星の隕石が地球にあるというのはロマンを感じますね。

画像
NWA7325隕石/Credit: skyfall

2024年の水星の逆行は、11月26日~12月16日の間起こります。ぜひ、自分の目で見てみてください。「コペルニクスも見ていないって言われる水星を見られた!」なんて自慢できるかもしれませんよ。

<

1

2

>

コメントを書く

※コメントは管理者の確認後に表示されます。

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

宇宙のニュースspace news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!