
- ラットの脳神経細胞「ニューロン」が、インターネットを介して「人工ニューロン」との交信に成功
- 生物ニューロンと人工ニューロンが、人工シナプスによって繋がったのは世界で初めて
「脳をインターネットに繋いで、世界中の情報を獲得する」
SFのような科学技術の時代は、今まさに幕開けしたところです。
英国サウサンプトン大学のテミス・プロドロマキス氏らの研究により、ラットの脳にある生物ニューロンと人工ニューロンの通信が可能になりました。
この2つは、インターネットを介して人工シナプスに接続され、リアルタイムで情報交信しました。
研究の詳細は2月25日、「Nature Scientific Reports」誌に掲載されました。
Memristive synapses connect brain and silicon spiking neurons
https://www.nature.com/articles/s41598-020-58831-9
脳をインターネットに繋ぐ試み

脳には多くの神経細胞が存在しており、それら1つ1つをニューロンと呼びます。
そして、ニューロン同士は「シナプス」と呼ばれるバイパスで繋がっています。
シナプスがニューロンからの情報を伝達しやすい形式に変換することで、スムーズな情報伝達ができるのです。
人が作ったものには、脳の仕組みと似たものがあります。インターネットです。
「ニューロン同士」が「シナプス」によって繋がり「脳」を形成しているように、世界中の「コンピューター」同士が「ネット回線」によって繋がり、「インターネット」を形成しています。
そして、ニューロンもコンピューターも電子信号によって情報を送受信します。

脳とインターネットの類似性は、多くの人を「人間の脳をwebにリンクさせる」というアイデアへと導きました。「人間はあらゆる情報を世界中から獲得できるかもしれない」と想像するわけです。
実際に、多くの科学者たちによって、人間の脳ニューロンをwebに繋げる取り組みがなされてきました。
そして、遂に、そのための大きな一歩を踏み出すことに成功しました。
生物のニューロンと人工ニューロン(機械)を、インターネットを介して通信することに成功したのです。
生物ニューロンと人工ニューロンは互いに人工シナプスに繋がれます。そして人工シナプスはハイブリットネットワークと呼ばれるネットワークに接続され、インターネット上で情報を伝達できます。