- 体の右半分がメスで、左半分がオスのハチが見つかる
- これは「雌雄モザイク」と呼ばれており、極めてまれにしか見つからない
スミソニアン熱帯研究所(STRI)が2018年に発見したハチが、右半分はメス、左半分はオスという非常に珍しい個体であることがわかりました。
このハチの顔の右半分は、通常メスに見られるような大きなアゴで、左半分はオスに見られる繊細で小さなアゴだったのです。
また顔だけでなく、全身も右側がメス、左側がオスとなっており、まるで半分に割ったオスとメスを互いに縫い合わせたかのようです。
これは「雌雄モザイク」と呼ばれる極めてめずらしい現象で、同じ個体の半分がオス、もう半分がメスになる状態を指します。
今回発見されたハチは、「Megalopta amoena」というコハナバチ科の一種であり、この種で雌雄モザイクが見つかったのはこれが初のことです。
研究の詳細は、2月27日付けで「Journal of Hymenoptera Research」に掲載されました。
https://jhr.pensoft.net/article/47828/
母系社会がメスを強くした
ハチの世界は、一般的に、メスが権力を握る母系社会になっています。女王バチを筆頭に、食料調達や花粉の運搬、巣の建設、子どもの世話など、重要な仕事はすべてメスが請け負います。
この社会構造により、ハチのメスは、堅い樹皮を削るための強靭なアゴ、花粉を捉えるための多毛の後脚、攻撃や防御のための鋭い針を発達させたのです。
一方で、オスは交配以外にほぼ役に立つ仕事をしません。そのため、身体も小さく、大きなアゴや針もないのです。
一方で知りたいのは、雌雄モザイクのハチがどのようにして生まれるかについてです。
これに関して、シドニー大学のベンジャミン・オルロイド氏が、数年前に見つかった別の雌雄モザイクのハチの遺伝子分析(論文、2018)をもとに、ある見解を述べています。
氏によると、「雌雄モザイクのハチは、受精と胚の発生過程における偶発的な事故が原因」とのことです。