動かない2つのマントル
さらに、これまで飛来した他の隕石についても研究チームは分析を行いました。
ここで確認されたのは、主にマントル由来とされるシャーゴッタイトと呼ばれるカテゴリーの火星隕石です。
ここでは劣化したシャーゴッタイトと濃縮されたシャーゴッタイトが比較されました。
その結果濃縮されたシャーゴッタイトは地球に似たD/H比だったのに対して、劣化したシャーゴッタイトは重水素が多くなっていました。
こうした事実は、火星に最低2つの水の起源が存在していて、しかも内部で完全に混ざっていないことを示しています。
これまで、火星の隕石に見られる水素同位体のばらつきは、火星を離れ地球に飛来する過程で汚染されたことが原因で、基本的には地球と火星の内部構造は似たような状態だと考えられていました。
しかし、どうやらこれは火星内部は、形成時に衝突した2つの惑星マントルに分かれていて混ざっておらず、地球のような地殻活動が行われていない可能性を示しているというのです。
火星は思った以上に地球とは異なる構造をしているようです。これは今後火星の歴史を理解するためにも、重要な情報になるでしょう。