- NASAの公式ブログに、火星の山斜面に発見された巨大な穴の画像が掲載される
- 穴は、溶岩洞の天井の一部が崩落して形成された「天窓」と判明
上の画像は、3月1日付けでNASAの公式ブログに掲載された火星の撮影画像で、赤道付近にあるパヴォニス山の西側斜面にできた穴を写しています。
専門家によると、穴は自然に形成されたもので、古代の火山活動が原因だとか。
現在この穴が、火星専門たちの関心を強く引いているようです。一体この穴の正体は何なのでしょうか?
巨大トンネルに空いた「天窓」?
画像は、火星探査機「HiRise」によって2011年に撮影されました。
調査の結果、穴は溶岩洞の天井に空いた「天窓(skylight)」と判明しています。
では、この天窓とは何なのでしょうか?
火口から噴出した溶岩流は、斜面を滑り落ちていくうちに空気に触れている表面部分が固まっていきます。一方で、その下の溶岩流は流れ続けており、結果的に外側だけが残ってチューブのような空洞が出来上がります。
これが「溶岩洞(溶岩チューブ)」です。
画像中の天窓は、経年劣化により天井の一部が崩れてできたものです。
開口部の直径は約35メートル。画像からは見えませんが、瓦礫の底には、天窓を構成していた「天井部分」が崩れ落ちた瓦礫がたまっており、天窓からその瓦礫の頂上までの距離は約28メートルとのこと。
また、画像データからデジタル地形図を作成することで、空洞内の詳しいサイズも明らかになりました。
それによると、瓦礫の山の高さは、少なく見積もっても62メートルなければならないそうです。すると、空洞自体の高さは90メートルに及ぶとされます。
これは、地球上で見られるどの溶岩洞よりも大きなサイズです。
専門家たちが溶岩洞に関心を寄せている理由として、火星に降り注ぐ強い放射線から表面(空洞内)を保護してくれていることが挙げられます。
特に、空洞内は放射線の当たらない安全な場所なので、火星の生命体が(もし存在するなら)生息しているかもしれません。
また、人類が火星に移住した暁には、こうした空洞内が地下建設の第一候補となるでしょう。
そのため、専門家にとっては、是が非でも詳しい情報が欲しい場所の一つなのです。