- ブラックホール撮影に成功した「EHT」が、50億光年も離れた「宇宙ジェット」の撮影に成功
- 一般的なジェットはまっすぐ伸びるのに対し、今回のジェットは少し曲がっていることが判明
昨年、史上初のブラックホール撮影を成功させた「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」のプロジェクトチームが、新たな画像を公開しました。
撮影されたのは、「3C 279」という銀河から放たれるジェットです。
撮影は2017年の4月に実施され、その後マックスプランク研究所(独)とマサチューセッツ工科大学(米)にてデータが解析されていました。
その結果、3C 279の中心部にある超大質量ブラックホールから放たれるジェットの様子が、これまでにない高解像度での撮影に成功しました。
研究の詳細は、3月3日付けで「Astronomy & Astrophysics」に掲載されました。
https://www.aanda.org/articles/aa/abs/forth/aa37493-20/aa37493-20.html
月面のミカンが地球から見える「地球望遠鏡」
3C 279は、地球から乙女座の方角に50億光年ほど離れた場所にある銀河です。
中心部には、太陽のおよそ10億倍の質量を持つブラックホールが存在し、これは、天の川銀河の中心にあるブラックホールの200倍以上に匹敵します。
3C 279のブラックホールの周囲には、重力により引き寄せられたガスやチリが集まり、降着円盤をつくりだしています。そこからブラックホールめがけガスやチリが落下することで、巨大なエネルギーを伴うジェットが噴射されるのです。
以下の動画は、3C 279から放たれるジェットのイメージです。
このジェットは強力な光を放っていますが、地球からはきわめて遠いため、光る点にしか見えません。こうした天体を「クエーサー」と呼びます。
しかしEHTは、世界各地に点在する8つの電波望遠鏡をつなぎ合わせて、「地球サイズの仮想望遠鏡」をつくることで、3C 279の観測を可能にしました。
これにより、3C 279をわずか0.4光年のサイズで分解できる超高解像度が実現したのです。
実感しにくいかもしれませんが、この解像度は、地球上から月面に置かれたミカンがクッキリと見える視力に値します。