全世界的な母数を確保した後の変異
今回の研究をするにあたっては「時期」が非常に重要でした。
今後、それぞれの型(A,B,C)が交じり合う状態になると、系統的な追跡が困難になるために、研究を急ぐ必要があったからです。
幸い研究は成功し、敵の進化系統を丸裸にすることに成功しました。
ですが、次にウイルスが行う変異がどのようなものになるか、人類にはまだわかりません。
試験的に行われている薬剤への耐性、初期型が持っていた幅広い感染能力の再獲得、そして強毒化によって医療崩壊を引き起こす終末的な感染拡大、または弱毒化による人類との共存、どれも複数同時にありえます。
ですが仮に、全人類が重い喘息になる程度の弱毒化が「選択肢」として選べるとして、人類はその休戦協定に署名できるでしょうか?
地球規模にまで拡散したウイルスと、人類はどのような関係を構築すべきか、選択の時は迫っているかもしれません。