脳細胞置換は不老不死への入り口だが、古い脳をどうすべきか?
今回の研究によって、移植された人間の脳細胞が、脳卒中によって引き起こされたラット脳の損傷を修復・代替したことが確認されました。
今後、移植された脳細胞が記憶や知能、思考、精神、性格などにどのような影響があるかが、動物実験や脳の若返りを望むボランティアによる人体実験で調べられることになるでしょう。
また今回の研究は、死んだ神経細胞を新しい健康な神経細胞で置き換えることが可能になったことを意味します。
人間の脳に対して常に新鮮な脳細胞を使った置換が行われれるようになれば、理論上、脳と精神は不滅ともいえるでしょう。
ただ一点、気を付けるべきことがあります。それは脳細胞置換を進めるペースと置換された脳細胞の処置です。
一度に全てを置換することは、単なる自殺です。精神の統一性を保ったまま脳置換を進めるためには、一度の置換を最大でも数%ずつに限定する必要があるでしょう。
特に、最新の研究によって明らかになった意識の発生源のようなデリケートな部分に対しては、細心の注意が必要とななります。
また置き換えられた古い脳細胞を生きたまま保存するか、医療廃棄物として捨てるかも哲学的・倫理的問題に発展します。
古い脳細胞を集めて再構成すれば「古いあなた」が復活するからです。
そうなれば「古い人格」と「新しい人格」どちらがより正当性のある「あなた」となるかも、考える必要がありそうです。
この研究はスウェーデン、ルンド大学のサラ・パルマ・トルトーザ氏らによってまとめられ、4月6日に学術論文「PNAS」に掲載されました。
- ラットの損傷した脳機能を人間の脳細胞で補完することに成功した
- 異種脳を組み合わせ、一つの脳として機能させることに成功したのは世界初