2つの巨星が合体した可能性も
そして、今回報告されたSN2016apsは、「理論的には脈動性の方の条件を満たしている」と言われます。
理由は、観測された爆発の光の内に、大量の水素が検知されたことです。
通常の対不安定型超新星の場合は、大爆発を起こすまでに水素を使い果たすと推測されています。これは、対不安定型超新星が一個の星から成っているためです。
しかし、脈動性のほうでは、単一の星とは別に、太陽の60倍ほどの質量を持つ2つの星が合体しているケースもあり得ると言います。
すると、必然的に水素の量は多くなるので、爆発の時点でもまだ十分に水素が残ります。そのため、観測した爆発の中に、水素が発見されてもおかしくはないのです。
ニコル博士は「合体した2つの星の内、質量の小さいほうが爆発まで水素を保持していたのではないか」と述べています。
脈動性対不安定型超新星は、仮説上の存在であり、実際の宇宙では断定できる例がありませんでした。今回のSN2016apsは、その記念すべき第一号となるかもしれません。