変身が可能になる

今回の研究は、皮膚や目といった私たちの体を構成する細胞が、簡単な刺激でリプログラムされ、別の組織に変化可能であることが示されました。
この研究成果を応用すれば、人体の組織を改編させる「変身」が、SFやマンガの世界から現実へとやってくるかもしれません。
というのも「変身」は自然界では珍しくない現象だからです。
蝶をはじめとした変体昆虫、オタマジャクシからカエルに変形する両生類など、多くの生物が細胞のリプログラムを利用して変身しています。
この過程を人工的に行い、さらに事前に変身後の遺伝情報を細胞に書き加えていれば、望みの姿に「変身」できるようになるかもしれません。
またSFやマンガのヒーローのような劇的な変化ではなくとも、登山やマラソンといったレジャーを楽しむために、一般の人間が、事前に脂肪細胞を削って筋肉細胞を増やすといった、日常に即した使い方もできるはずです。
骨細胞を変身させれれば身長も変幻自在になり、美容もファッション感覚の変身がメインになるでしょう。
もしかしたら、未来の人類はみんな多かれ少なかれ「変身」できるようになっているのかもしれませんね。
研究内容の詳細はアメリカ、ノーステキサス大学のビラージ・マハト氏らによってまとめられ、4月15日に最も権威ある学術雑誌「nature」に掲載されました。