アトラス彗星は昨年12月28日に発見され、今年の5月末には、地球から肉眼で観測できると期待されていました。
しかし、4月5日の時点では、既に崩壊の兆候を見せていました。
そして、これまで輝きを増していたアトラス彗星は、4月11日に突如暗くなり断片が見つかったことから、その崩壊が認められました。
非常に残念な結果となりましたが、今回の崩壊は、彗星分裂のメカニズムを提示するものとなるかもしれません。
アトラス彗星は崩壊する
アトラス彗星(C/2019 Y4)は、ロボット天文学調査システム(ATLAS:Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System)によって発見された彗星です。
彗星は、チリを含む氷でできた「核」であり、太陽に近づくことで表面が蒸発してチリが尾のように伸びます。
アトラス彗星は、強い輝きから「肉眼での観測」が可能であると期待されていました。
しかし、その輝きが突如無くなったことから、核の「断片化」もしくは「崩壊」が懸念されていました。
そして、4月11日、アマチュア天文学者ホセ・デ・ケイロス氏によって、アトラス彗星の3つの断片が確認されました。
さらに、ハッブル宇宙望遠鏡によって、4月20日には約30個の断片が確認され、4月23日には、25個の断片が確認されました。
加えて、これら分裂した断片すべてが、彗星と同じようにチリによる尾を持っていることが判明したのです。