昨年12月28日に発見された「アトラス彗星(C/2019 Y4)」は、太陽や地球の方向に近づきつつあると報告されていました。
このまま進めば、5月半ば〜5月末には地球から肉眼で見える範囲に入ると予測され、プロアマ問わず、天文好きから大きな期待が寄せられていました。
ところが、今月5日の時点で、すでに崩壊の兆候を見せていることが判明したのです。
絶景が見られるはずだったのに…
彗星は、チリを含む氷で出来た「核」であり、太陽に近づくことで表面が蒸発して、チリが尾のように伸びます。
いわゆる、流れ星よりも遠くに存在するので、一瞬で消えるものではなく、(観測可能な位置にあれば)流麗な尾を引いたまま空に止まって見えるのです。
この光景は極めて稀なことで、「彗星の核が大きいこと」や「太陽や地球に近づくこと」などいくつかの条件をクリアしなければ見られません。
アトラス彗星は、まさにそれらの条件を満たすものとして、期待されていたのです。
アトラス彗星は、発見時、20等級という微かな光を放っていました。これは望遠鏡でのみ観測可能で、肉眼ではとても見れません。
しかし、その後、驚くべきスピードで太陽方向に近づき、急激に明るさを増していました。3月半ばには8等級、末ごろには7等級まで増光したのです。
このまま行けば、5月末には、1等級を超える明るさになり、肉眼でも十分に観測できる予定だったのですが…。
こちらは、3月28日に撮影されたアトラス彗星の移動の様子です。動画はおよそ5時間分の移動距離に当たります。
Comet Atlas last night from my backyard over a period of approximately five hours. #Astrophotography #astronomy #science #space #comet #cometatlas pic.twitter.com/R8I4oDXkzC
— ☆Matthijs Burgmeijer (@MMBurgmeijer) March 27, 2020