キチン(多糖類)とケラチン(タンパク質)
タリーモンスターの分類の鍵となった成分はキチンとケラチンです。
キチンは昆虫のツノやカニの殻など、主に無脊椎動物の硬い部分に存在する成分であり、もう一方のケラチンは人間の爪や髪、ウロコやクチバシといった、主に脊椎動物の硬い部分に存在する成分です。
どちらも同じような役割を生命に提供していますが、キチンは多糖類である一方で、ケラチンはタンパク質の一種であり、両者の分子構造は大きく異なります。
そのため化石にキチン(多糖)由来の化石成分が含まれていれば、タリーモンスターは無脊椎動物であり、ケラチン(タンパク質)由来の化石成分が含まれていれば、脊椎動物である直接的な証拠になりえます。
分析にあたっては顕微ラマン分光装置が使われました。
顕微ラマン分光装置は、対象にレーザーを照射して散乱光を検出する顕微鏡的な性質と、散乱光のパターンから対象の化学結合の種類や結晶格子の歪みを直接検知する検知器の機能が合わさっています。
分析を行った結果、化石から検出されたのは、多糖ではなくタンパク質由来の化石成分でした。
このことから、タリーモンスターはキチンは含まれず、ケラチンを有する脊椎動物の仲間だと結論付けられました。