- 小惑星リュウグウ表面には、高熱にさらされたために変質した粒子が多く存在していることがわかった
- これはリュウグウがかつて、非常に太陽に接近していたことを示している
- はやぶさ2の採取した試料は、太陽の変成を受けた粒子と受けていない粒子が含まれ、分析への期待が高まっている
「はやぶさ2」は小惑星リュウグウへのタッチダウン(着地)に成功し、その表面サンプルを手に現在地球へ帰還中ですが、この採取の際の映像の反射スペクトルを分析したところ、赤黒い粒子が舞い上がっているのが確認されました。
この粒子はリュウグウの表面に広く分布していて、これはかつてリュウグウ表面が高熱で焼かれた痕跡だとわかりました。
太陽系で小惑星を高熱で焼く存在は太陽以外ありません。
分析の結果、どうやらリュウグウは30万年前から800万年前、水星軌道より内側まで太陽に接近し高熱で焼かれたことがあったようなのです。
現在リュウグウは地球と火星の間に存在していますが、過去にはずいぶんとダイナミックな旅をしていたようです。
リュウグウの表面の赤黒い粒子
これまでリュウグウの表面は岩石に覆われた姿しか見えておらず、月面のレゴリスのように微粒子の存在は確認されていませんでした。
しかし、「はやぶさ2」が試料採取のためにタッチダウン(着地)を行った際には、非常に多くの粒子が舞い上がっているのが確認されています。
映像はモノクロですが、映像の反射スペクトルを調査した結果、この舞い上がった粒子は赤黒い色をしているとわかりました。
この赤黒い粒子は、リュウグウの表面に数メートルの厚さで全体に存在していて、太陽に焼かれて変質した物質だと考えられています。
リュウグウ全体の反射スペクトル(色)の分布については、赤道にあたる部分と極点にあたる部分は青白く、中緯度の領域が赤黒いということがわかっていました。
また、リュウグウのクレーターには赤黒いクレーターと青白いクレーターが存在していることがわかっています。
これは画像で比較すると青白いクレーターは赤黒いクレーターの上に存在していることから、若いクレーターであることがわかります。
これはリュウグウがかつて太陽に非常に接近したことがあり、表面がその熱で変質したためだと考えられるのです。
青白いクレーターは、そんな太陽の変成を受けた後にできたため、内部の青白い物質が露出した状態になったのです。