石柱に掘られた動物は何を意味するのか?
また遺跡が計画性をもって一度に建設された場合、必要とされる労働力は500人から数千人に跳ね上がるとのこと。
そのため研究者はギョベクリ・テペの初期遺跡は、狩猟生活を送っていた人類の資源の、ほぼ限界量を投入して作られたのだろうと結論付けました。
しかしながら、どのような理由で、また何者が、狩猟生活を行っていた人類の部族を束ねて、その資源と労働力を限界まで供出させたかは不明のままです。
ですが、それほどの労働力と資源を投入した初期遺跡も、炭素測定を使った分析によって、1000年後の紀元前9000年前後に放棄されたことがわかっています。
またこの時代には文字が存在しなかったために、遺跡が作られた理由もわからないままです。
読み取れる唯一の情報は、石柱に記された複数の動物の彫刻だけです。
石柱にはライオン、ウシ、イノシシ、キツネ、ガゼル、ロバといった哺乳類、ヘビやその他の爬虫類、昆虫や蜘蛛といった節足動物、そして鳥(とくにハゲワシ、鳥葬文化があった)が描かれています。
現代では一面の荒野であるギョベクリ・テペ周辺も、12000年前のには森が広がり、多くの動物たちがいました。
狩猟生活を送っていた人類にとって、動物はより身近な存在だったのでしょう。将来この動物たちから、何かヒントが得られるかもしれません。
研究内容はイスラエル、テルアビブ大学のギル・ハクレイ氏らによってまとめられ、5月に学術雑誌「Cambridge Archaeological Journal」の30巻、第2号に掲載されました。
記事内に一部誤りがあったため、修正して再送しております。