骨格から雌雄は判別できるのか?
では骨格の大きさが異なるからといって、それで雌雄の判断が本当にできるのか? ということを検証したのが、今回の研究です。
研究チームは、この検証のために絶滅危惧種であるインドガビアルの106の博物館標本を使って性差の検出を試みました。
インドガビアルは長い鼻先をしていて、成体のオスは鼻の部分が大きなコブになっています。このコブは鼻骨のくぼみに支えられていて、オスの方がこのくぼみが大きいことで知られています。
鼻先の骨格を見れば、インドガビアルはオスメスの判断は容易につけることができます。
しかし、この鼻窩を考慮に入れなかった場合、研究チームはインドガビアルの性別を正確に区別することができなかったのです。
「100以上の標本を使ったにもかかわらず、すべての標本は雌雄を生み出す明確な統計的シグナルを持たなかった」と研究チームは結論づけています。
標本の性別が事前にわかっていても、インドガビアルの性別を骨格から判別できなかったとなると、恐竜の化石から性別を判断することはかなり困難な作業であることが予想できます。
一部の鳥類は、鮮やかな色の違いを持ちますが、そうした性的二型の特徴を化石から判断することはまず不可能でしょう。
こうなると、体内に出産前の卵を宿した化石を発見するのでもない限り、恐竜の性別を判断することは極めて難しい問題になります。
現状、恐竜の化石は男の娘と曖昧にしておくことしかできないようです。ちょっとモヤッとしますね。
この研究は、英国ロンドンのクイーン・メアリー大学の動物学者David Hone博士を筆頭とした研究チームより発表され、論文は古生物学を扱う学術雑誌『Paleontology and Evolutionary Science』に5月12日付けで掲載されています。
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