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実は恐竜の「オスメス」は判別できていなかった

2020.05.14 Thursday

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Credit:The Elder Scrolls Wiki – Fandom
point
  • 現状、恐竜のオスメスの判定については、大きさが異なるなどの性的二型で判断している
  • しかしサンプル数が少ないため、恐竜の性的二型判断は統計的に頑健ではない
  • 新たな研究は100を超えるワニの骨格を分析し、性差が導けないことを明らかにした

ヒヨコ鑑定士というお仕事があるように、動物のオスメスの判断は意外と難しいものがあります。

それが壊れた骨格の一部しか存在しない恐竜となれば、ヒヨコ鑑定士どころではなく、飛躍的に難しいものになります。

これまで、ティラノサウルス(T・レックス)については、メスの方が身体が大きいという動物界にはよく見られる性質が、雌雄を判別する基準になっていました。

しかし、これはたった25の壊れた標本に基づいた分析で、統計的には疑問の残る判断方法です。

そこで新たな研究では、恐竜たちの子孫とされるワニの骨格サンプルを使って、雌雄の判断が可能かどうかの実験を実施。

その結果は、なんと「さっぱりわからない」というものでした。

男の子? 女の子?

男と女の区別なんて付かなくっていいだろ! という方も昨今多いと思いますが、古生物学者としてはぜひとも区別を付けたいところです。

たいていの動物には、生殖器以外に性的二型(せいてきにけい)という雌雄のはっきりとした差があります

もっとも一般的なのは体格の差で、オスのほうがメスより身体が大きくなっています。

これはヒトにも見られる傾向ですが、マントヒヒなどは明確に雄雌でサイズが異なり、オスとメスは親子ほどサイズが異なります。アザラシなどもオスの方がメスよりはるかに大きな身体をしています。

これとは逆に、メスのほうがオスより身体が大きいという性的二型の逆転も存在します。

これもわりと一般的な傾向で、鳥類ではハチドリや猛禽類などに見られる特徴です。その理由には諸説ありますが、メスが大きいほうが卵を多く生みやすい、という仮説があります。

これが極端に現れているのはチョウチンアンコウなどで、メスに対してオスは驚くほど身体が小さく、ほとんど寄生生物状態になっています。

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アンコウのオスとメス。/Credit:Tony Ayling/Wikipedia/CC BY-SA 1.0

恐竜のT・レックスについてはこの性的二型の逆転が見られ、オスよりメスのほうがずんぐりした体型をして大きかったとされています。

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ティラノサウルス・レックス。/Credit:depositphotos

しかし、その根拠はたった25の壊れた骨格標本に基づいたものです。T・レックスの性的二型の逆転を裏付けるデータとしては、十分とはいえません。

シュリンガサウルス・インディクスという角を持つ恐竜については、オスは角を持つが、メスには角がないとされています。

しかし、この恐竜の化石はたった7体しか発見されておらず、メスと判断された化石に至っては2体のみです。

これでは単に化石の保存状態が悪く、偶然角を失っていただけという可能性が排除できません。

このように、現在の研究では、恐竜の雌雄の判断というものはかなり曖昧な状態です。

2017年には恐竜の性的二型に関する研究は、統計的に妥当とは言えないという論文が発表されています。

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