電気刺激と脳裏に浮かぶ光の位置関係を構築する
研究ではまず、どの電極の刺激が、脳裏のどの部分に光を生じるかが解き明かされました。
失明患者の脳の視覚野に埋め込まれた多チャンネルの電極の一つ一つに電流を流し、脳裏のどの位置に光が生じたかを解明していったのです。
以前の研究でも同じように電極と脳裏に浮かぶ光の位置の関係が利用されてきましたが、患者に読み取らせる段階では電流を一斉に流していました。
そのため光の混合が起こってしまい、結局、患者は文字を読むためには混合した光のパターンと文字を対応付ける学習作業が必要になりました。
ですが今回の研究では、電気を流す電流を最大2点に限定し、文字の一画一画を順に脳裏に浮かばせる手法がとられました。
これは時間をかけて「背文字遊び」や「手文字遊び」をする手法と同じです。
結果、患者はより自然なかたちで文字を認識できるようになりました。
特に成人後に失明した患者にとっては、既に文字の形の知識があるために、より素早い文字の認識が可能です。
最も成功した例では、ある失明患者は1分あたり86個の形状を認識することができるようになったとのこと。
映画の字幕をみるには速度不足かもしれませんが、詩や俳句を楽しむことはできるでしょう。