
- メタノール中毒の男性に缶ビールを15本投与して救命
- ビールに含まれるエタノールがメタノール分解を遅らせ、血液透析の時間を確保
2018年12月、ベトナムに住むグエン・バン・ニャット氏(48歳)は、パーティーで酒を飲んだ後に意識が無くなり、ベトナム中部クアントリの病院に急送されました。
彼の身体からは、基準値の1000倍以上ものメタノールが検出。あやうく死ぬところでしたが、医療スタッフの特殊な処置によって回復に至りました。
その特殊な医療処置とは、なんと彼の身体に「合計15本の缶ビールを投与する」というものだったのです。
メタノール中毒の原因
アルコールには、エタノールとメタノールの2種類があります。どちらも似たような効果があり、ある程度の毒性があります。
しかし、メタノールはエタノールとは化学構造が若干異なり、肝臓での処理が難しいため、大量に摂取してしまうと危険な中毒症状を引き起こしてしまいます。

私たちが飲む酒のほとんどはエタノールです。
ビールやワインなどは自然発酵によって製造されるため、メタノールも含まれているのですが、その含有量は微々たるものです。
また、市販の蒸留酒メーカーは、特別な技法によって製品からメタノールを除去しています。
そのため、通常の飲酒ではメタノール中毒になることはないでしょう。しかし、適正に管理されていない密造酒などには多く含まれている場合があります。
また、ガソリン、塗料、シンナー、接着剤、洗浄液、インクなどにも含まれており、これらの誤飲によってメタノール中毒になることもあるのです。