車87万台分の排気ガスを吸収していた?
研究チームは2017〜2019年にかけて、ESA(欧州宇宙機関)の人工衛星・センチネル2号と南極上の観測データを組み合わせて、繁殖範囲を調査しています。
その結果、1679個の氷雪藻のコロニーが確認され、その合計面積は約1.9㎢に及んでいました。
研究主任のマット・デイヴィー氏は「これは年間479トンの二酸化炭素を吸収していることを意味し、約87万5000台の自動車から排出される温室効果ガス量に匹敵する」と指摘します。
また、デイヴィー氏は「一般的に、南極の温暖化が進むと低地の薄い氷は溶けていくため、その場所にある氷雪藻はなくなっていきます。しかしそれ以上に、高地における氷雪藻の繁殖が急速に進むので、今後も南極の緑化は拡大していくでしょう」と推測します。
本調査では、緑色の氷雪藻だけに焦点を当てていますが、南極には他に赤色やオレンジ色の氷雪藻の繁殖も確認されています。
このまま温暖化が続けば、南極はカラフルな大陸に変貌するかもしれません。
研究の詳細は、5月20日付けで「Nature Communications」に掲載されました。