ガストロイドは禁断の人体実験の素材になる
先に書いたように、多くの国では受精卵を14日齢以上培養されることが法律で禁止されています。
しかし受精過程を必要としないまま成長するガストロイドを使用すれば、法律の制限を突破することが可能になり、ヒトの発生・発達を自由に調べられるようになります。
またガストロイドを薬の効き目などを調べる実験体とすることで、薬が胎児にどのような影響を与えるかを調べることもできるでしょう。
万能細胞の遺伝子を事前に組み換え、優れた形質を導入することで、優れた遺伝子を持つガストロイドも作れるほか、意図的に遺伝子を破壊することで、遺伝病の研究材料にすることも可能です。
ですが、この技術は潜在的に、受精に依存しない人体を作成可能にするものです。
そのため「ヒト受精卵だから尊い」という既存の概念を変える必要にを迫られるかもしれません。
ガストロイドが完成した今、何を「生命」とし尊び、何を「物」として扱うのか、考える時間はもう残されていないようです。
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2383-9
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