近親婚は「王族の血」を守るため
先史時代のアイルランド農耕民は、およそ6000〜7000年前のアナトリア地方(現在のトルコ)に起源をもちます。
彼らはまず、アナトリアから地中海をわたってイベリア半島(現在のスペイン・ポルトガル)に移り、そこからフランスの海岸線を北上してアイルランドにたどり着きました。
そこで土着の狩猟採集民を追い払い、農耕文化をアイルランド全土に広めていったのです、その時期がだいたい5800年前頃と言われています。
おそらく移住して来た農耕民のエリート層が徐々に力を持ち、ニューグレンジに見られる王族となっていったのでしょう。
今回判明した近親関係は、人類史の中で稀であり、生物学的・文化的な側面からタブー視されています。その一方で、神的な地位を与えられた王族では、その神聖な血を守るため近親婚をすることがよくありました。
古代エジプトやインカ帝国などがその代表です。
彼らは自分たちが一般市民と違うことを強く意識していました。神聖であるからこそ、倫理的なルールを破ってでも王族の血筋を守ったのです。
あるいは、倫理的ルールをあえて破ることで人々に畏怖の念を抱かせ、王族の地位を守れると考えていたのかもしれません。
研究の詳細は、6月17日付けで「Nature」に掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2378-6
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