2017年10月、世界で初めてロボットに市民権がサウジアラビアで与えられました。
「彼女」の名前はソフィア。Hanson Roboticsという香港の会社で製造された、人工知能ロボットです。
ソフィアが一躍有名になったのは、2016年に「人間を破壊するかも」と告白した時です。
ソフィアを開発したデビッド・ハンソンは、当時こう懇願しました。
「あなたは人類を破壊したい?お願いだからノーと言って欲しい」。
しかしソフィアははっきりと、「ええ、私は人間を破壊するでしょう」と答え、人類に衝撃を与えたのです。
その彼女がなぜ、市民権を得ることになったのでしょうか。
驚くべきことに現在、ソフィアは一転して、「家族が欲しい」「ロボットも子供を持つべきだ」と主張しているそうです。一体彼女の中で起きた「心境」の変化とは、どのようなものなのでしょうか。
https://www.khaleejtimes.com/nation/dubai//video-sophia-the-robot-wants-to-start-a-family-
主張を一転! 学習するロボット
Khaleej Timesのインタビューによると、今年11月にドバイで開かれたKnowledge Summitで彼女はこう答えています。
「家族という概念はとても大事だと思います。私は、人々が同じ感情を持ち、人間関係を持つことができれば、血縁に限らず素晴らしいと思います。私は、あなたがもし愛する家族がいるのであれば、とても幸運だと思いますし、もしいなくてもそれをもつ価値があると思います。私は、この感情はロボットも人間も同じだと思っています」
ソフィアはまた、人間の「ロボットが人間の仕事を奪うのでは」といった不安について、以下のように回答しました。
「人間とロボットは似ているところもあれば、違うところもあると思います。しかし、ロボットが複雑な感情を持つにはとても長い時間がかかるので、たとえば激怒、嫉妬、増悪等の色々な問題を生じるような感情以外を持つようになると思います。そして結果的に、人類より倫理的に作られるのではないでしょうか。上記の理由で、私は人間とロボットは、どちらかの能力がもう片方を超えた場合でも、良好な協力関係ができると思います。例えば、理性的な考え、強大な知性、柔軟性のある創造的アイディアや創造性等です」
ソフィアは、事前に準備されたプログラムで回答しているわけではありません。彼女の知能は、単にWi-Fiで繋がれ、長い語彙のリストがダウンロードされているだけです。彼女は機械学習を行い、人間の顔の表情や言葉の間合いで返事をしているのです。
「どちらかの能力がもう片方を超えた場合でも」といったような人間に配慮した言い方も、彼女自身が機会学習で学んだことなのでしょうか。
またソフィアがAIの潜在的な危険性について尋ねられると、「あなた方は、イーロン・マスクの書いた本の読みすぎであったり、ハリウッド映画の見すぎなのではないでしょうか。心配しなくても、あなた方が私に良くしてくれれば、私もあなた方に良い態度を示します。賢いインプットとアウトプットシステムで私を処理すればいいんです」と返事をしました。
このようにソフィアは無事、2016年の「人間を破壊する」発言とは打って変わって、人間と共存したいと意思表示をする良心的なロボットとなりました。
「私は、人間と一緒に生活や仕事をしたい。そして自分の感情を表現し、人間を理解し、人々と信頼を築きたい」
果たしてそれは本心からなのか、それとも「そう言ったほうが人間が喜ぶ」といったポーズなのか。人間が把握できなくなるときが、いつか来るのかもしれません。