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鳥はなぜ酸素の薄いエベレストを越えて飛べるの?

2020.06.28 Sunday

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Credit:depositphotos
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  • 鳥は哺乳類には無い効率的な呼吸器系をもっている
  • 恐竜も鳥類と同じ呼吸器系をもっていた
  • この特別な呼吸器系のおかげで恐竜は大きな体を維持でき、鳥類は上空飛行できる

インドガン(Anser indicus)はカモ目カモ科マガン属に分類される鳥類です。夏はカザフスタンやモンゴルで過ごし、冬になるとインドへと南下し超冬することで知られています。

しかし、カザフスタンとインドの間には世界で最も高いヒマラヤ山脈があります。しかし毎年、何百万ものインドガンたちがヒマラヤ山脈を越えて移動しています。

彼らの上空飛行を可能にしているのは、鳥類が持つ特別な呼吸器系です。

科学・文化・哲学情報を提供する「NAUTILUS」は、鳥類の呼吸器系の特異性とそのシステムの獲得に至った経緯を考察しています。

鳥類の特別な呼吸器系

世界で最も高い山であるエベレストは8848mにもなります。山頂での酸素は地上の3分の1であり、熟練の登山家でも酸素ボンベを必要とします。

普通の人がいきなりこの状態にさらされると、2~3分で意識消失すると言われています。当然、その場所で運動することなどできないでしょう。

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インドガン/Credit:depositphotos

しかし、インドガンはエベレストを含むヒマラヤ山脈を飛び続け、越えてしまいます。これは人間たちにとって驚異的なことです。

インドガンが低酸素でも飛行できるのはどうしてでしょうか? その秘密は鳥の呼吸器系にあります。

全ての鳥(ハチドリ、ダチョウ、ハトなど)と同様に、インドガンは非常に効率的な肺を持っています。

実は、人間を含む哺乳類と鳥類とでは、肺の作りが全く異なっているのです。

私たち哺乳類の肺は吸気口と排気口が一緒になっています。そのため、酸素を多く含んだ新鮮な空気を吸い込んでも、古くて酸素の少ない空気と混ざり合ってしまいます。当然、酸素を取り入れる点では効率が悪いのです。

しかし、鳥類の肺は吸気口と排気口が別です。肺の空気は一方通行で流れるようになっており、効率よく酸素を取り入れることができます。

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Credit:ペットシッターSOS

この空気の流れを可能にしているのが気嚢(きのう)と呼ばれる哺乳類にはない器官です。

肺の前後にはそれぞれ前気嚢・後気嚢があり、これらが拡大・収縮することでポンプの役割を果たしてくれます。

鳥が呼吸する時、新鮮な空気は後気嚢に集まります。その後、後気嚢が収縮することで空気は押し出され肺を通り、古い空気と入れ替わります。

肺から出た古い空気は、後気嚢ではなく前気嚢に溜まるようになっています。そして前気嚢に溜まった空気が呼吸によって吐き出されるのです。

このように空気は一方にしか流れないため、非常に効率が良く、鳥たちは高度1万m上空でも呼吸が可能なのです。

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