星の最後
星は質量によってその最後の運命が決まります。
太陽の8倍以上の質量を持つ星は、最後超新星爆発を起こして終わります。
しかし、太陽質量の8倍より軽い星は、晩年大きく膨らみ、中心核から離れた外層は星の引力を逃れて恒星風となって宇宙空間へ流出していきます。
このとき、流れ出した星の外層はガスとなって星を包み、惑星状星雲という状態を作ります。
太陽質量の2倍程度の星は、この人生最後の段階で、高温の中心部で炭素原子を生成して外層へと運び、それは穏やかな恒星風によって星間へと拡散させていきます。
今回の研究では、この炭素の豊富な外層の剥離が、非常にゆっくりと行われた場合、白色矮星の中心核は予想されるよりも質量を大幅に増加させていくことになるとわかったのです。
散開星団に見られた予想より質量の大きい白色矮星は、このプロセスによって宇宙の炭素濃縮に貢献していた証拠だったのです。
さらに初期-最終質量関係から、今回の白色矮星の質量増加を分析したところ、太陽質量の1.65倍以下の星はこうした炭素生成のプロセスを行っていないことがわかりました。
つまり太陽質量の1.65倍という質量は、その星が銀河に炭素をもたらす最小質量だったのです。
これは生命の源となる炭素の起源を示すだけでなく、宇宙と恒星の進化についても非常に興味深い発見となります。
遠い銀河の中にある死にかけた星の光の中には、こうした生成された炭素のサインを発見できるかもしれません。現在大型望遠鏡は、そんな宇宙構造の進化を探る光の収集を毎日行っています。
この研究は、イタリアのパドヴァ大学の研究者Paola Marigo氏を筆頭とした国際研究チームより発表され、論文は天文学の学術雑誌『Nature Astronomy』に7月6日付で掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41550-020-1132-1
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