
- AIの人工ニューラルネットワークを使い、イメージと視覚での「見る」機能の違いが調査された
- イメージでは、網膜や第一次視覚野の活性化が拡散され、そのために見え方が曖昧になる
- PTSDはイメージを現実として捉えてしまうが、これはイメージを曖昧化する脳機能の障害かもしれない
私たちにとって「見る」とは、目で現実のものを見る「視覚」と、頭の中のイメージを見る「想像」の2種類があります。
どちらも私たちにとっては、同じ様に頭の中に映像が浮かんでいますが、果たしてこの2つの見ることの違いは何なのでしょうか?
サウスカロライナ医科大学の研究者は、精神的なイメージと視覚が脳の同じ視覚領域を使用しており、想像の場合は視覚より視覚領域の使用が低レベルである、という内容の論文を科学雑誌『Current Biology』に報告しています。
脳の中では、視覚も想像も似た方法に処理されている可能性があるのです。
この発見は、想像と視覚の研究を発展させるもので、長期的にはPTSD(心的外傷後ストレス障害)などへの応用も期待されています。
果たして「見る」とは何なのでしょう? 想像のイメージを見るとき、私たちは一体何を「見て」いるのでしょうか?
画像を処理する人工知能と人間の脳
今回の研究者Naselaris氏は研究の動機について、次のように語っています。
「精神的なイメージと視覚が非常に似ているということはわかっています。しかし、全く同じというわけではありません。私たちは、どのような点でそれが異なっているか具体的に知りたかったのです」
この疑問を探るために、研究チームはGoogleが開発した人工知能画像解析ソフトウェア「Deep Dream」を利用したました。

「Deep Dream」には、人間の脳と同じ様な画像を合成する人工ニューラルネットワークがあります。
研究では、まずこのAIのネットワークに画像を見る訓練を行い、次にAIに画像を想像させるというステップを踏みました。
このAIのもつネットワークの各部分は、人間の脳内にあるニューロンの集まりに対応しています。ニューラルネットワークの各階層は、視覚とイメージでそれぞれ異なる機能を持っています。
次に研究チームは、視覚とイメージが脳内のどの部分を活性化させるか、MRIを用いて人間の脳活動を確認しました。
この実験では、MRIに入った参加者に画面に写った画像を見てもらい、その後内容を思い出してイメージするようお願いしました。
これにより元の画像とイメージを見るとき、それぞれ人間の脳のどの部分がアクティブになり、また逆に平静な状態になるかが明らかにされました。
そして、研究チームは最後にAIの実験と人間のMRI実験の結果を比較しました。
するとAIと人間の脳の両方が似たような働きをしていることがわかったのです。


























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