電気バクテリアを生かすだけなら電子のみでいい
アメリカ、ミネソタ大学の研究者は様々な条件で、この電気バクテリアの培養を行っていました。
そして今回「M.ferrooxydans PV-1」と呼ばれる電気バクテリアを、一切他の栄養源を必要とせず、鉄電極から放出される電子のみで生育させることに成功したそうです。
実験に使われた装置は、上の図のように対になる電極とバクテリアが浮かぶ培地からなっています。
この培地には一切の栄養素は含まれていませんでした。
実験の結果は、電気バクテリアを生かすだけならば、砂糖や他の種類の栄養素は必要なく、電子だけで十分であることを示しました。
次に研究者は、電気バクテリアの故郷である海底の堆積物を培地に組み込み、2本の電極を使って電気バクテリアの増殖を試みました。
堆積物に刺さった2本電極のうち1本は、電池を使って堆積物の自然電位より高い電位がかけられ、もう1本はより低い電位が掛けられました。
研究者が個々の電気バクテリアの電気活動を調べたところ、電気バクテリアは2本の電極のうち、陰極の鉄電極から放出される電子を食べ、使い終わった電子を陽極に向けて排出(呼吸)していたことがわかりました。
なお電子の食い扶持がみつからない場合、細菌は餓死してしまいます。また電子の捨て先がみつからない場合には、窒息死してしまうとのこと。
似たような結果は、金属で呼吸する細菌でも報告されています。