世界史のエジプト編に登場した「ヒクソス」という民族を覚えているでしょうか。
彼らは、紀元前18世紀頃、エジプトに侵入して当時の王朝と戦い、紀元前1650年頃に政権を奪取しました。ヒクソスが建てた王朝は「エジプト初の異民族王朝」として歴史に名を刻み、約100年の間、エジプトを支配します。
ところが今回、英・ボーンマス大学の最新研究により、ヒクソスはエジプト外部からの侵略者ではなかった可能性が浮上しました。
ヒクソスによるエジプト征服は、内部からの犯行だったのかもしれません。
「ヒクソス」はどんな民族?
そもそもヒクソスの正体は、多くが謎に包まれています。
定説では、西アジアにルーツを持ち、ヒッタイトやミタンニといった民族の大移動に追われる形で、エジプトに移動しました。ところが、武力に優れるヒクソスは、BC1650年頃にエジプト中王国を叩いて、「エジプト第15王朝」を建てます。
シリア・パレスチナ〜エジプト北部の一帯を支配し、主に騎馬や二輪戦車を持ち込みました。
その後、BC1542年頃、新たに力を持ったエジプト新王国に敗れ、パレスチナ地方に逃亡し、滅亡に至ります。
これまでの研究で、ヒクソスは典型的なエジプト人とは違うことが指摘されていました。例えば、ヒクソスの名前の多くは、明らかに西南アジア系のものでした。
記録文書には「ヒクソスは外地からやって来た異民族の侵入者」と書き残されていますが、厳密な正体は今もって不明です。