ヒクソスは平和的にエジプトに住み着いた移民だった?
ところが今回、ヒクソスが支配した古代都市アヴァリスから出土した遺骨を調べたところ、彼らはエジプト生まれだったことが示唆されました。
アヴァリス遺跡は、1940年代に、エジプトの首都カイロから北東120キロの地点で発見されています。
ボーンマス大学の研究チームは、アヴァリス遺跡で見つかった頭蓋骨の歯を分析し、ヒクソスの正体に迫りました。
ヒクソスが政権を奪取する以前の350年間に埋葬された36人の歯を調べたところ、そのうちの24人が外国生まれと判明しました。出身地までは特定されていませんが、これはエジプト王国がヒクソス政権以前の数百年にわたり、移民を歓迎していたことを意味します。
さらに、ヒクソス政権時代に当たる別の35人の歯を調べるた結果、同様に移民の受け入れが行われていました。
つまり、ヒクソスは初めから征服を目的に侵入したのではなく、移民として平和的に移住して来たのでしょう。政権を取ったヒクソスの支配層は、まったくの異民族ではなく、数世紀前に移住して来た集団の子孫だったのかもしれません。
しかも、この説明は理にかなっています。というのも、アヴァリス遺跡では、過去に戦闘や略奪が行われた痕跡がほぼ見つかっていないのです。
もしヒクソスが異国の征服者だったなら、そうした痕跡が見られるはず。要するに、彼らは平和的かつ緩やかにエジプトに移住し、後に何らかの理由で反逆者になったのでしょう。
反逆に転じた理由は今もって分かりませんが、ヒクソスは通説となっているような野蛮な民族ではなかったかもしれません。
研究の詳細は、7月15日付けで「PLOS ONE」に掲載されています。
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0235414
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