外部からの干渉がない転倒防止装置
これまでにも、歩行補助や転倒防止のための器具や装置は存在していました。
杖、歩行器、手すりなどはシンプルですが効果の高いものです。しかし、それらは常に「手でつかむ」必要があり、「足の限界を手でサポートする」ものでした。
新しいバックパック型ロボットは、CMGにより背負うだけで転倒防止の力を発生させることができるため、両手がフリーになるという大きなメリットがあります。
歩行者がバランスを崩すとCMGが姿勢を正す方向へと力を発生させるため、結果としてバランスを保ち続けることができ、転倒を防止するのです。
歩行困難の原因は人の脳や足の筋力、体幹にあります。それらを身体の他の部分ではなく、ロボットが直接サポートできるのですから、非常に画期的な装置だと言えるでしょう。
ある実験では、バックパックを背負った幾人か(すべて健常者)が、幅3cm、長さ4mの梁を渡るように指示されました。
その結果、全ての被験者はCMG機能をONにすることで、OFF状態よりも非常に優れたパフォーマンスを示しました。ある健常者は2倍もの距離を渡れるようになったのです。
また別のバランス実験(狭いブロック上で姿勢を維持する実験)では歩行機能に障害を持つ慢性脳卒中患者が参加。
この場合もCMG機能によってパフォーマンスが向上しており、慢性脳卒中患者でありながら、2.5倍も長い時間立ったままでいることができました。
現段階で、CMGを採用したウェアラブル転倒防止装置は健常者の歩行バランスを大幅に改善し、慢性脳卒中患者のリハビリへの有用性を示しています。
今後の研究では、更なるバランス改善が行われる予定です。
https://www.nature.com/articles/s41598-020-66760-w
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