洞窟は北アメリカ最古の「ホテル」だった?
洞窟内の土壌には、植物や動物の遺骸が堆積しており、それらの年代測定から、洞窟の使用時期が約2万5000〜3万年前と特定されています。
動物の中には、クロクマやコウモリ、ハタネズミ、カンガルーネズミなどのDNAが同定されました。
一方で、研究主任のエスケ・ウィラースレフ氏は「人々は洞窟に居住したわけでなく、一年のうちの一時期を、例えば夏や冬の避暑・避寒地として、あるいは移住中の狩猟の拠点として使っていた可能性が高い」と指摘します。
それは、洞窟内に人のDNAが見つからなかったことや、長期滞在の痕跡がなかったことから推測されています。
言うなれば、洞窟は北アメリカ最古の「ホテル」のようなものだったのかもしれません。
しかし、10年におよぶ洞窟調査は、判明した新事実よりもはるかに多くの謎を生んでいます。最大の謎は「洞窟を訪れた人々が誰で、どこから来て、どこへ行ったのか」という点です。
彼らは、北アメリカに到達した最初の一団でありながら、植民に成功したわけではありません。北アメリカで人類の定住が始まったのは、「うんちの化石」が示す1万4000年前や「クローヴィス文化」として知られる1万2000年前頃が最有力です。
チキヒテ洞窟を訪れた人々は、定住を拒んだ「流浪の民」だったのかもしれません。
研究の詳細は、7月22日付けで「Nature」に掲載されています。
https://www.nature.com/articles/s41586-020-2509-0
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/55419
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