先日発表された「うんちの化石」研究から、人類が初めて北アメリカ大陸に到達した時期は、約1万4000年前に更新されたばかりでした。
ところが今回、メキシコ北部の人里離れた洞窟内に、約3万年前の人の活動痕跡が発見されたのです。
2000個近く発見された石器には、明確に人の手が加わった跡が見られ、狩猟採集したと思しき動物や植物の遺骸も見られました。
人類が初めて北アメリカ入りした時期は、うんちが示す年代より、1万5000年も前に遡るかもしれません。
研究は、セント・ジョンズ・カレッジ (ケンブリッジ大学)とメキシコ・サカテカス大学により報告されています。
洞窟周辺は「麻薬カルテル」が牛耳っている
人跡が見つかった場所は、メキシコ北部の山岳地帯にある「チキヒテ洞窟(Chiquihuite Cave)」です。
この洞窟は、海抜2750メートルという高地にあり、普通の人は立ち入らないような急峻な場所に位置します。
到着までにかなりの労苦を要しますが、そのおかげでひっそりとした空間になっており、洞窟を使用した古代人は人目を気にすることなく滞在できたはずです。
そのせいか、現在では、メキシコの麻薬カルテルが洞窟周辺を縄張りにしており、研究チームは、武装した警察に護衛してもらいながら、洞窟まで向かわねばなりませんでした。
同行した研究員は、「非常に危険な区域なので、警察の装甲車に乗せてもらい山の麓まで行きます。その後、日の出前に徒歩で出発し、麻薬カルテルに見つからないよう洞窟まで歩きました」と話します。
チキヒテ洞窟の調査は、2010年から続いているのですが、調査中は洞窟内で寝泊まりし、中には数ヶ月間の洞窟泊を行ったツワモノもいるようです。