アフリカで誕生した人類は、数万年前にアフリカを後にし、ヨーロッパやアジアへと広がっていきました。
その過程で、北アメリカ大陸にも到達したはずですが、いつ、どのように入植したかは未だに分かっていません。
これまでの研究によれば、「北アメリカ最初の定住者は約1万1500年前のクローヴィス文化に遡る」と言われています。
しかし今回、米・オレゴン州にあるペイズリー洞窟で発見された「ウンチ」の化石から、約1万4000年前にはすでに人が存在したことが判明しました。
研究は、英・ニューカッスル大学により報告されています。
犬と同居?食事はネズミや虫だった?
ウンチの化石は、一般に「コプロライト(coprolite)」という清潔な名前で呼ばれます。
洞窟内で見つかったコプロライトを放射性炭素技術で測定した結果、年代は約1万4000年前のものと判明しました。
また、コプロライトに含まれる生物由来の脂肪分を調べることで、人から排便されたものと断定されています。複数見つかっているコプロライトの半数以上が人由来のもので、他は動物のものでした。
同じ場所で見つかった脂肪分には犬のものも混ざっており、犬と一緒に暮らしていた可能性もあります。さらに、バスケットのようなカゴを作る材料の断片も出土しており、人々は洞窟内を拠点にしていたのかもしれません。
コプロライトを見る限りでは、当時の人類の食生活は植物や種子、げっ歯類、昆虫など多彩だったようです。
研究チームのリサ=マリー・シリトー氏は「人類がアメリカ大陸に住み始めたのはいつかという問題は、専門家の間で大きな議論を呼んでいました。しかし本研究により、約1万年前を始まりとするクローヴィス文化を大きく遡ることが証明されたでしょう」と話します。
一方で、それ以前のコプロライトが見つかっていないだけで、人類は1万4000年より前から北アメリカに住んでいた可能性も十分あります。加えて、北アメリカにやって来た手段もまだ分かっていません。
研究チームは今後、人類がどのように北米に到達し、どんな生活を送っていたかについて調査を進める予定です。
研究の詳細は、7月15日付けで「Science Advances」に掲載されました。
https://advances.sciencemag.org/content/6/29/eaba6404/tab-figures-data
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