観測されるまで確定しない!?「量子囲碁」
通常の囲碁は、互いに1つずつ石を置いていき自分の石でより多くの陣地を囲めるか競うゲームです。
相手の石を隙間なく囲むことでその石を除外し自分のものにできるため、石を置く位置やタイミングなど相手の思考を読む必要があるでしょう。
さて、量子囲碁も「陣地を囲む」「相手の石を取る」などの基本的なルールは同じです。しかし使用する石を光子と見立てているため、この石が量子的な働きをするようになっています。
では量子囲碁の基本的なルールをご紹介しましょう。
プレイヤーは自分のターンに2つの石(光子)を盤上に置きます。
この2つの石はお互いにもつれ状態にあるため、観測されるまで「置かれた2つの位置のどちらにも存在する可能性」があります。
お互いのプレイヤーは交互に2つずつ石を置いていきます。
そしていずれかの石の隣に新しい石が置かれることでその石は「観測」されたことになります。観測されることでペアである2つの石の状態が決定され、片方は消滅し(取り除かれ)もう片方はそのまま盤上に残るのです。
量子の性質が囲碁をさらに複雑にしていますね。
盤上には、同時に2つの可能性をもつペア石が1ターンごとに増えていき、それらの石も隣接しなければ状態が決定しません。
そのため、プレイヤーは1つのペア石に対しても「盤上に残る可能性」と「残らない可能性」を考慮しなければならないでしょう。
自分の置く石ですら、観測されるまではどちらが盤上に残るのか分からないので、これまでにない複雑な思考が要求されます。
ちなみに量子囲碁を行なうには、対局状況を記憶するコンピューターと量子もつれを生成する装置が必要なので、私たちがすぐにプレーすることはできません。
今回の量子囲碁は実験的なものですが、ゲームに量子論を加えることでランダム性と複雑さを導入できると分かりました。
将来、量子論ベースのゲーム新時代が訪れるかもしれませんね。
この研究は「arxiv.org」に掲載されています。
antum Go Machine
https://arxiv.org/pdf/2007.12186.pdf